ネタがないから

ショートショート

久しぶりの「とっても大好き!ザジえもん」
っていうかブログでSSはこれしか書いてないよ。

さきほど書き終えましたが、限界なので寝ます。
というか、穴埋めだったハズなのに・・・なぜ?


特に雨も降ることもない平々凡々と晴れ渡った五月の一日。
夏太は夏太のママからお使いを言い渡され、商店街への道のりをトボトボと歩いていた。
「ひどいやザジえもん・・・・おつかいが行くのがイヤだからって、ママが戸を開けたとたんにイリュージョンで逃げるなんて・・・」
一人ブツブツと言いながら、うつむきかげんで歩く夏太。
その足取りは重く、視線は落ち着きなくキョロキョロと回りを探っている。
「こんな一人で歩いているところをちづいあんに見つかっちゃったらどうすればいいんだよぅ・・・」
ちづいあん。
そう、彼女こそが夏太を悩ませる元凶であった。
今年度に入ってから転校してきた彼女は、初めて教室に入ったその瞬間に、夏太の学校生活を一変させた。
まず彼女に対峙した者が初めに目を奪われるのはその美貌・・・。
おっとりとした穏やかな光を湛える瞳はあたかも聖母のような温かみをもち、目元のホクロがちょっとしたアクセントを与えている。
口元にはやさしげな微笑が絶えることなく浮かび、その唇は春に咲き誇る桜のような色と艶。
豊かな長髪は膝裏までもあり、その緩やかなウェーブラインは彼女の印象をさらに柔らかなものとしていた。
そして、特筆すべきはその体型・・。
まさしく小学生離れとしかいいようがなく、特にその胸は厚手の服を着ていてすら、その存在を主張するほどの大きさであった。
美貌、プロポーション・・・そしてそれに加えて彼女の外見の印象と同じくその正確も母性あふれるものであった。
やさしく、細やかで、そして時に不正をただす厳しさ・・・。
彼女を慕う者は日に日に増えていき、そしてついにはクラスメイト全員彼女の取り巻きとなってしまうほどであった。
夏太と他数名を除いて・・・。
夏太は、初めて彼女を目にしたときから彼女を至高の者として畏れ敬い、そして彼女の側にいたいと焦がれながらも、その一方でどこか彼女を信頼しきれずにいた。
たしかにちづるは模範的な小学生、そして魅力的な同級生として完璧であった。
だが、夏太の心は、そんなちづるの振る舞いに、どこか違和感を感じていたのであった。
完璧でありすぎる人間・・・。
そのあまりの”他人からの理想像”そのものである彼女のどこか、日常を過ごす彼女の視線の一瞬に、巧妙に隠している彼女の本性が現れるのを夏太は感じていた。
薔薇の花には棘がある・・・。
完璧に咲く誇る薔薇は、同時にその茎に生える棘も、また完璧な鋭利さをもっているのだ・・・。
その不信感を抱えながら、夏太はクラスメートとしてちづると普通に接していた。
そして、その不信感も自分の気の迷いだと忘れようとしていた一ヶ月前にそれは起こった。
夏太とちづるが放課後の帰り道、二人きりで寄った空き地で、彼女は、潜ませていた薔薇の棘を夏太へ向けたのであった・・・。
思えば、夏太が不信感を感じていた理由・・・。
それは他ならぬちづるが夏太へとその本性のサインを送っていたことに他ならないからだった・・。

「ひゃうぅっ!!」


その時のことを思い出した夏太は自分で自分を抱きしめるように両腕を抱え、ガクガクブルブルと震えだした。
(ちづいあんがあんな人だったなんて・・・思いも寄らなかったよ・・・)
通り過ぎていく思い出に振るえながら、夏太は深いためいきを盛大に吐き出した。
と、その時。
「あら、夏美ちゃん」
「ひゃうぅううっっ!!!?」
1mも離れていない背後からかけられたその声に、夏太は文字通り飛び上がりそして振り返って2〜3メートルほどあとずさった。
「ちちち、ちづいあんーっ!!?」
「あらあら、何をそんなに驚いているの?夏美ちゃん」
口元に手をやりながら、ほのぼのとした口調で言うちづいあん。
「な、夏美じゃないよぅっ!ボクは夏太だよっ!」
「あら。そういえばそうだったわね、夏美ちゃん」
パニくる夏太にまったくかまうことはない。それがちづいあん。
「だから違うー!」
夏太は一ミリでもちづいあんから離れようと背後の壁にぴったりとへばりつきながら言った。
「ところで夏美ちゃんは今何をしているところなの?お買い物?」
手にしていた買い物袋に目をやりながらちづいあんが言った。
「そそそそう!ボク買い物の途中なんだ!じゃあ急いでるから今日はこのへんで・・」
「あら、奇遇ね。わたしも今コ・タローの散歩中なの」
夏太のセリフを完璧にスルーしてちづいあんが右手をあげる。
握っているひもの先には黒くてとてつもなく生意気そうな子犬がアクビをしながらねそべっていた。
「へ、へぇ〜〜〜〜!そうなんだー!じゃ、ボクはこれで・・・」
さりげなくその場を離れようとする夏太を遮るように、
「ああ・・これも運命なのかしら・・・こんないい天気の日にバッタリ夏美ちゃんと出会うなんて・・・。あら、ちょうどそこに空き地が・・・。ねぇ・・夏美ちゃん。少しお話していかないかしら・・・?」
スッと、まるで猫がネズミを追い込むように夏太に迫ったちづいあんが言った。
その雰囲気はさっきまでのほのぼのとした空気が保っていたが・・その瞳から発せられる怪しい輝きが、それまでのちづいあんとの雰囲気を一変させていた。
夏太より背が高いちづいあんに迫られると、まさしく蛇に睨まれたカエルのように夏太は動けなくなる。
「えっ、あ・・あの・・ボ、ボク・・!」
それでも抗おうとした夏太の手を、ちづいあんがスルリとつかむ。
それだけで、夏太は凍りついたかのように動けなくなる。
圧倒的強者の前には、弱者はただ捕食されるしかない・・・。
「ね・・・?」
艶やかに光る唇から紡がれたその言葉は麻酔に等しく、夏太は導かれるままに空き地の・・・最初にちづいあんの本性を垣間見たあの場所へと連れ去られようとしていた。
ちなみにコ・タローは空き地の道路境の杭につながれて、めんどうくさそうにねそべっていた。
そして、まるで自分の体とは思えない感覚の中で・・夏太は必死に戦っていた。
(これじゃダメだこれじゃダメだこれじゃダメだ・・・・!!これじゃいつもとおんなじだ・・・!でもこのままいっちゃってもいいような・・・ってダメダメダメーー!!・・・!っよし、逃げるんだ!!)
「ご、ごめんちづいあん!ボク急用がぁああーー!!」
呪縛を振り払うように叫びながら手を振り払い、後ろへ駆け出そうとした夏太。
しかし、
「あら?わたしとお話した後でもいいでしょう・・・?」
あっさりと手を握られて連れ戻された。
「あああーーーー!!!?あぁあーーー・・・」
(うわぁあーーーんボクこのままじゃダメ人間にぃいいーーー!!
・・・ってアレは!!)
道路を振り向いていた夏太の目に飛び込んできたその人物は・・・!!


















誰になるんでしょうねー。続く。