バイオメガ

バイオメガ 1 (ヤングマガジンコミックス)

バイオメガ 1 (ヤングマガジンコミックス)

最高。俺が弐瓶勉氏に求めているものが全部入っていた。

あらすじ。

今からおよそ千年後の地球。
七世紀ぶりの火星への有人飛行に成功した人類。探査船の乗組員が前時代の遺物である入植施設への調査中、空気もないそこに一人の女が立っていた。
そしてその半年後、地球全土にウィルスが蔓延、感染した人々がドローン(ゾンビっぽいもん)と化し、都市をうろつきまくっていた。
そんなウィルスに汚染されたある一つの都市に、時速666キロを叩き出すバイクに乗った男が到着する。
黒尽くめの武装スーツをまとったその男は、東亜重工から”都市浄化支援”のために派遣された合成人間であった。

ネタバレが微妙にあるので。

弐瓶勉、といえばBLAME!
BLAME!っていうのはアフタヌーンで連載されてた漫画だけど(完結してる)、とにかくセリフが少ない。
全くセリフなしなんて回もざら。必然的に状況説明も少ないから作品全体のストーリー軸ももはや作者以外わからんという( ゜Д゜)ハァ?的ストーリー。
しかして、そこが短所であり、長所でもある。
BLAME!のキモは、ワケわかんないけど、その難解不可解なストーリー及び雰囲気(世界観)から醸し出される「空気」を楽しむところにある、と俺は思う。
いやーなんてったって舞台が数億年後の地球だし。珪素生物*1とかセーフガード*2とかいるし。銃弾貫通距離70キロの重力子放射線射出装置なんてものもあるし。

ワケわかんない、と書いたけど、それは全体を通してのことで、個々の「〜編」といった個々の話ではちゃんとわかりやすいストーリー展開。東亜重工編とか激燃えっスよ!姫を助ける騎士ですよ!一騎打ちですよ!

あとセリフが少ない、とは言ったけど決してセリフが重要視されてないということではなく、むしろたまに出てくるからこそ強烈に印象に残る。

例えばアフタヌーン四季賞で審査員特別賞を受賞したBLAME!の原型のBLAMEより。文字の大きさも原文まま。



動くな

ファックヘッド
これは警告だ

んで本編の東亜重工編で霧亥(主人公)と対峙した珪素生物のイヴィ(武士っぽいヤツ。外見だけ)とメイヴ(微妙にイカれたねーちゃん系)のセリフ

イヴィ
「用心しろよ メイヴ
この男は銃がなくても危険だ
メイヴ
「ダメよイヴィ
ゆっくりやるの」

サイコーです。






で、バイオメガについてですが。(脱線しまくり)
連載どころがヲタ漫画アフタヌーンからヤンマガに移行したこともあるのか、BLAME!よりはわかりやすくなっています。スケールもちょっと小さくなってますが。

そしてやっぱり戦闘描写が燃える。
火花と雷撃が怒涛のごとく散りまくります。それはもう滝のように。
他にもバイクに乗ってゾンビの群れの中を斧でぶったぎったり跳ね飛ばしたりして突っ切ったり向かい来るミサイルを銃で撃ち落したり(バイクの走行中。慣性なんてなんのその)。
きわめつけはラストの軌道大陸間弾道ミサイル13基をロングバレルの銃で地表から撃ち落すなんてのはもうドーパミンでまくり。

あと、作中で出てくる知的クマ(人語をしゃべり、メガネをかけてテレビを見る。あと猟銃も撃つ)がとてもいい味を出している。
っていうかクマの表情が・・・クマの表情が・・・。
人間より感情豊かに描かれるってのはどういうことなのか。
あんなクマの驚愕した顔なんて初めてみたよ!


いやーとてもよかったです。週刊だから早めに次巻も出てくるだろうからウキウキです。
追記:はてなリンクを辿ったところもう連載終わってるらしい。
Σ(゜д゜lll)ガーン
まぁいいか。

*1:珪素基系の物質で身体を構成した人類。派生元の有機系の人類を狩るのが種を維持する条件。正確に言えばネット端末遺伝子を持つ人間。ちなみに主人公の霧亥はこいつらを殺しまくっているのでいたく嫌われている。ついでに言うと、ネット端末遺伝子とは太古の人類が保有していた遺伝子。都市の中枢にアクセスできる鍵。元々都市はこの遺伝子を持つ人間のみを居住者と規定していたため、都市に住む人類の遺伝子が変異してしまった現在では人類は”不法住居者”と認められ排除される対象になってしまった。

*2:都市の治安機構。ネット端末遺伝子を持たない不法居住者を機械的に狩る。ボディも珪素基系。ちなみにBLAME!での”都市”は地球を核にして無限に広がっていく構造物のことであり、ある意味世界と言っていい。